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2010年6月14日 (月)

目から鱗のシカゴ美術館ツアー1

こんな素晴らしいことはもう二度と起こらないかもしれない、

というようなことが起こったのです~!

というのは、お知り合いの芸術家の方が、

The Art Institute of Chicago(シカゴ美術館)を案内してくださったのです。

プロの詳しい解説付きで世界の名作を見る機会なんて、滅多に無いでしょう~!

Kluiuyioou

シカゴ美術館は、元々美術学校から始まったもので、今でも美大が併設されています。

ニューヨークのメトロポリタン美術館に次いでアメリカ第二の美術館で、

世界的に有名な作品を多く収蔵しています。

プロの説明を聞いていたら、今まで全く気付かなかった興味深いことが分かって、

益々美術館好きになりました。lovely

P1000767

新館は去年オープンしたばかり。イタリアの建築家、レンゾ・ピアノの設計。

P1000859

ミレニアムパークを一望出来るようになっています。

実際に見ると、お花が良く見えて、とてもいい景色です。

さて、時代順にご紹介しますが、美術史の流れが全部続いていますので、

飛ばさずに読んで下さいね。

P1000770

この仏像はパキスタンかアフガニスタンの4~6世紀のもの。

顔がヨーロッパの面立ちです。インドより西の仏像はこういう西洋風の顔。

リアリスティックです。

P1000773

これは、ローマ時代、紀元前2世紀のエジプトの棺おけの上に書いた死人の肖像画。

目を大きめに書く習慣だったそう。

P1000778

これは、ローマ時代、紀元前100年前後の作品。

この時には、顔のバランスや、洋服のドレープの折り目等を科学的に計算して

実に写実的に彫刻を作れるまでに美術は進んでいました。

P1000780

ところが、ヨーロッパでは、この後、今までの写実的な進歩した絵画は封印され

、「暗黒の1000年」がやってきます。この上の絵が、その時代の代表作です。

「暗黒の1000年」とは、380年にキリスト教がローマ帝国の国教となってから、

カトリック教会が力を持っていた10世紀です。

キリスト教が普及してからローマが衰退して芸術が花開くルネサンスの頃までの

1000年、ヨーロッパの絵画は暗黒時代に入ったのです。

西ヨーロッパ圏では、純粋キリスト教主義のもと、

古代ローマ、ギリシャ文化の破壊が行われました。

今まで展開してきた芸術が打ち砕かれたのです。

カトリックの厳しい考え方から、この時代に描かれた物は、

イエス・キリストが大きくて、人は小さく描かなければいけない、

イエスは人らしく描いてはいけない、また、神は体を持たないので、描いてはいけない、

と決められていました。

そして、性は汚なく隠すものとされ、裸体は描かれず、

そして、遠近法が使われませんでした。

P1000781                  絵をクリックすると拡大します。

その結果、出来た作品は、この上の絵のように、

遠近法を使いませんから奥行きのない、のっぺりとした絵ばかりになりました。

その芸術の発展の無い時代がなんと1000年間です!

P1000784

これは、「暗黒の1000年」が終わった頃、

1500年前後のオランダのOostanen(と弟子)の作品です。

イエス・キリストの誕生のシーンが描かれています。

この時には、写実的で、リアリスティックになってきています。

遠近法は、完全ではありませんが、使われています。

しかし、まだ教会のルールを守ろうとしている時代です。

随分といい絵になってきましたが、まだのっぺりした感じがあります。

P1000786

これは、イタリアのボッティチェリ(Sandro Botticelli)の1480年頃の作品です。

有名なビーナスの作家として知られています。

この絵は、イエス・キリストと聖母マリアを描いています。

この絵になると、キリストが人間らしく描かれて、

これは、「イエスを人間のように描いてはいけない」という規則のあった、

「暗黒の1000年」の時代には、ありえなかったことです。

この頃になると、ローマ教会の力は弱まり、段々と富豪の力が強くなって、

富豪をスポンサーにした画家達が、教会の規則を打ち破ってリアリスティックな作品を

次々に製作していきます。

さて、時代はハイ・ルネサンスへと移っていきます。

P1000788

のっぺりした壁紙みたいな絵ではなくなりましたね。

このGiorgio Basariの作品は、近くでよく見ると、未完成品であることが分かります。

下書きの線が見えているのです。

P1000789_3 P1000789_2

線が薄くて、見難いのですが、よく見ると、格子状に線が引かれているのが見えます。

この時代、まずキャンバスに升目を引き、

そこに科学的に計算されたバランスのいい絵を描きました。

この最初に升目を描いてから計算つくしたように絵を描いていく方法は、

印象派の時代になるまで続きました。

印象のままに自由に下書き無しに書くのが印象派ですが、

それまでは、このようにまず計算をしてから絵を描き始めていたのです。

この時代の画家は、解剖学も勉強しました。医者が解剖をして、

人体解剖図を作る時、写真がまだありませんでしたから、

画家が絵を描き、それを本にしました。

そんな時代、彼らはまず骨を描く訓練をし、体の構造を学びました。

解剖の絵が描けないとここまでの絵は描けない、ということ。

P10007911_2                    クリックすると拡大します。

Veronseのこの絵の、右端の真ん中あたりに骸骨が描かれているのですが、

それは、「私は解剖図も描けます。」と、宣伝する意味があったのかもしれない、

ということです。解剖図を描く仕事はいい収入になったのでしょうね。

今まで美術館に行っても、「キレイだな。」と思っていただけでしたが、

プロの解説付きだと、今までの疑問も解けてきました。

時代ごとに作風が変わっていく理由や、描き方の技法が分かると、

芸術を見る目は変わります。

このシカゴ美術館の目から鱗ツアー、まだまだ続きますが、長くなるので、まだ次回。

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